hataori channel vol.07 着物でお茶体験 撮影の裏側〜後編〜
「hataori channel vol.07 “着物でお茶体験” 撮影の裏側」 後編です。
襖が開き、小堀さんが一礼し、炉の前に座ります。
今回の撮影時の小堀さんのお着物は、可憐な小花柄を施した淡いすっきりとしたピンク色の訪問着に、白地に数色の菱紋をあしらった袋帯のコーディネート。
帯締めはインタビューでおっしゃられていた通り、着物の地色に合わせたものでした。
前回のインタビュー時の濃紺地に紅葉のお着物もとても素敵でしたが、今回のお着物はピンクと小花が女性的で、おもてなしにぴったりの装いです。
撮影が始まると、小堀さんの表情や姿勢がさらに引き締まるのが伝わってきました。
一つ一つの整然たる所作が、ゆっくりとした時間の中でも、お茶室の中に凛とした空気を巻き込みます。
小堀さんがお茶を用意している間に、先に阿久津さんには茶菓子が差出されます。
客人をお待たせして退屈させないことと、お茶をさらに美味しくお召しいただくための考えられた順番があるのですね。
今回お出しいただいた和菓子は、小堀さんのお着物に合わせたピンク色の可愛らしく美しいお菓子でした。
教わった作法通り、左手で木の器を受け、竹楊枝で半分に割っていただこうとする阿久津さんですが・・・
これが意外と難しい!!
ポロリと茶菓子がこぼれてしまい、笑う阿久津さん。
うまくお菓子が割れなかったり、器がプルプルと揺れてしまったり、なかなか初心者には難しいのです。
客人側にも慣れた作法が必要なのです。
おもてなしを受ける側も、それなりの作法と礼儀、経験を要するのが茶道なのですね。
ただ、さすがそこはプロのモデルさん。
二回目のテイクでは、完璧な所作でいただくことができました。
続いて小堀さんのカットにまた戻り、お茶を点てるまでの一連です。
わたしたちスタッフも本格的なお茶の席は初めてだったのですが、その手際の良さ、茶道具や所作の端麗さ、お茶の香り、そのお茶の世界全てにすっかり入り込み、魅了されてしまいました。
美しい抹茶の色、粉のきめ細やかさ。
炉の炭を使い、鉄釜で沸かしたお湯。
沸き立つ白い湯気。
普通にポットで沸かしたお湯と、炭と釜で沸かしたお湯とでは、お茶の出来上がり、風味がまったく違うそう。
柄杓で茶碗に注ぐお湯の音が、ちょぼちょぼと心地良い優しい音を立てます。
小堀さんがお茶を点てる様子をじっと待つ阿久津さん。
いつの間にか阿久津さんの表情や姿勢にも変化が表れ始め、凛とした雰囲気がその空間全体に流れます。
茶筅についた湯の雫、くるりと回す茶筅のゆるやかで美しい滑らかな動き。
そして、お茶を点てるときのシャカシャカとこちらも心地良い音の響き。
もっと長い時間強く泡立てるイメージがあったのですが、思ったよりも短い時間で優しく点てていたのが印象的でした。
そして出来上がり差し出されたお抹茶。
この美しい抹茶色と、ほどよい泡立ち、ムラのない気泡、畳と茶碗とお茶の色が織り成す、和の世界観。
この一杯をつくるための準備や努力やおもてなしの精神が、このワンカットに詰まっているような気がしました。
差し出されたお茶碗を左手に受け、右手でそっと90度回転させる動作をする阿久津さん。
もうすでに初めてには見えないその所作。
小堀さんからの一連の美しいカットが繋がりました。
このお茶碗を回転させる所作。
これは、主人から差し出されるお茶碗は、一番お茶碗の綺麗な柄が客人を向いているためで、
それを客人は気持ちを受け取りつつも、そこに口をつけることはしないという礼儀のお返しという意味が込められた所作なのです。
素人からすると「3回転半回す」といったルールがあるイメージが強かったのですが、この意を組めば、そっとずらす程度の所作で良いことが分かりますね。
お茶を数口でいただき、そっと口のついた部分を親指でなぞります。
「大変結構です」
の阿久津さんの一言で、お茶シーンの撮影は完了です。
監督の「OK!」の声に、安堵の笑みを浮かべる阿久津さん。
拍手とともに凛としたお茶室が、また和やかで普通の時間に戻りました。
最後に、茶室の縁側に座り、本日の撮影を終えて、お二人に座談していただきました。
▶︎座談の様子はこちらから
阿久津さんにとっては初めてのお茶体験となりましたが、小堀さんの分かり易い手ほどきもあり、またお茶の作法一つ一つの意味なども知ることができ、お茶に興味が湧いたご様子でした。
今回の撮影を通して、たくさんの人がお茶に興味を持ち、そこへお着物を着て参加することでさらに日本の和文化に触れ、和の触れ合いがどんどん広がっていけばいいなぁと改めて感じました。
今回も監督はじめ、たくさんのスタッフさんの協力のもと撮影・編集を無事完遂することができました。
次回以降のhataori channelもお楽しみに!
菱格子の中に四季折々の花々を繊細に描いた、淡い水色の清潔感ある訪問着です。
帯は扇面文様や松竹梅、人物文様など吉祥柄をあしらった金彩豊かなブルーを基調とした正絹帯です。
お茶の場はもちろん、結婚式や大切なシーンでご利用ください。
2016.06.06
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