茶摘みの季節・単衣の季節
皆様ご機嫌よろしゅうございます。
5月に入り、木々も青々として、風が暖かさを運んできてくれる季節となりました。
この季節になると「薫風自南来」(くんぷうみなみよりきたる)というお掛物をかけます。
薫風とは新緑の間を吹いてくる快い風を意味します。
茶道の世界では、暖かくなるのに応じて茶室の炉がふさがれて、風炉(ふろ)にかわります。
暖かくなるこの時期には釜は小ぶりになり、お茶碗も厚手なものから薄手のものになり、深いものから浅いものになります。
お菓子も「薫風」(くんぷう)という名前をつけたり、葛まんじゅうなど涼しさや清々しさを連想するものが多く取り入れられます。
風炉(ふろ)
立春から数えて八十八夜になる五月は茶摘みの時期になります。
私たちも毎年お庭のお茶きからお茶を摘んでいます。
お庭にある数本のお茶の木の新芽がでると、その新芽をとって2~3日天日干しをし、フライパンで煎ってからよく揉んで、新茶に仕上げます。
このお茶はすぐに緑茶としていただいています。
お抹茶にする場合は、この新茶を茶壷に詰めて、封をして熟成させます。
この封を切るのは11月の口切り(くちきり)という行事で初めて開けるのです。
お着物も6月に向けて衣替えが始まります。
着物の柄は季節を先取りしたり、薄手の軽い印象の着物に替えます。
長襦袢も単衣(ひとえ)のものになります。
お着物以外にも、6月には障子を外して御簾に替え、軒先によしずをたてたりして、暑さをしのぐ工夫をします。
こういったものは実際に日ざしを避けて暑さをしのぐことだけではなく、隙間からこぼれる柔らかい光がゆらゆらと揺れるさまが、涼しさをも感じさせます。
また、実際に揺れるのを見ると、風を連想させられ目にも涼やかになります。
風鈴なども出し、その音色から涼をとります。
5月はまだ過ごしやすい日も続きますが、いよいよ暑くなってくる6月に向けて涼しさを取り入れる工夫が大切になってきます。
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hataori blog by Sosho Kobori 小堀 宗翔 / 茶摘みの季節・単衣の季節