畳の縁はなぜ踏んではいけないの?
むすびえりかの和装小物
みなさまご機嫌よろしゅうございます。
今日はお着物に合う小物のご紹介です。
2013年ミス日本グランプリで、2011年にはミス着物の女王の称号をもつ鈴木恵梨佳さんが作っている「むすび えりか」です。
帯むすびを畳縁で表現し、とてもかわいい名刺入れを作っていらっしゃるのです。
お着物をお召しになるときに、楽しみにするのがやはり帯ですよね。
「お着物の華である帯結びを持って歩けたら・・・」
そんな想いから、おばあ様と二人で作っているむすびえりか。
畳の縁は人との結界といわれていて、それを結ぶ名刺入れがあったら、という思いから「ご縁を結ぶ名刺入れ」として作っていらっしゃいます。
中は仕切りがあってカードケースにも、ピアスやお薬の小物入れとして、お着物の際のお札入れとしても使えます。
私は、お着物を着ている時には名刺入れは懐に入れています。
初対面で名刺交換をするとき、懐から帯結びが出てきた、なんていうのはなんて可愛らしいでしょうか。
初対面の方とも名刺入れを通して一気に心が通う気がします。
さてさて、えりかさんの作っているむすびえりかの素材の「畳縁」。
お茶室や和室に入った時、茶道などを嗜んでいなくても皆さんがおそらくご存じなのは、
「畳の縁は踏んではいけないよね」
という事です。
なぜ、畳の縁を踏んでいはいけないのか?
理由はいくつかあります。
えりかさんのむすびえりかが意味する「結界」の役割があります。
「結界」とは聖地と俗世を隔てる境界線です。
結界という言葉は本来仏教用語で寺院を二つに区分した内陣(ないじん)・外陣(げじん)をはっきりと分けるために「結界」を設けています。
それは茶道の世界でも取り入れられていて、最初のご挨拶の際に「お扇子」を使います。
初めて会った方も、親しい関係の方も一番初めの挨拶にはお扇子を用いて御挨拶をし、親しい中にも礼儀ありという形で結界をし、ご挨拶の後、お扇子を外した時に心がほぐれる、心が通うという形式をとります。
また、畳の縁の柄はそこに座る方の身分で決められていたのです。
畳の縁には家紋が入ったものもありました。
最高位の天皇や皇后がお座りになる畳には繧繝錦(うんげんにしき)の縁を使います。
赤、黄、紫などの色に菱や花菱などの模様を織っています。
貴族や公家がお座りになるのは高麗縁、白の綾地に黒で雲や菊などの模様がおられています。
これら以外にも神社やお寺、武家や商家の格式によっても縁に家紋を入れたりするので縁はその家を象徴するものです。
それを踏むことは御先祖様を踏みつけてることと同様の意味になってしまうのです。
なので縁を踏まないようにするのが武家の嗜み、商家の跡継ぎをするものの大切な心得であったのです。
↑こちらはまさに私、小堀家の家紋「七宝花菱」の畳縁で作っているむすびえりかです。
また、物理的に傷まないようにということもあります。
畳の縁はもともと一番弱い部分ですので、大切な建物の造りを踏まない事にもつながっています。
さてこちらの「むすび えりか」。
https://musubierika.theshop.jp/
私が3月15日から催す予定の、三越銀座7階の「サロンドきもの」で、もうすぐ皆さまの前でご紹介できます。
お楽しみに・・・!
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hataori blog by Sosho Kobori 小堀 宗翔 / 畳の縁はなぜ踏んではいけないの?