「着物」でも「キモノ」でも「KIMONO」でも
少しブログの更新が空いてしまいました。
最近世間ではインフルエンザが流行っているようですが、皆様体調など崩されていませんでしょうか?
さて、本日は少し真面目で、すこーし堅い内容の記事を書かせていただければと思います。
もしも下のタイトルにご興味ある方は、是非読み進めてくださいね。
■「着物」のユネスコ無形文化遺産登録はどうなった?
2014年に話題になった、
「着物」をユネスコ無形文化遺産に登録しようとする動き。
最近ではあまり聞かれなくなった話題ですが、今はどうなっているのでしょうか?
ちなみに「無形文化遺産」とは・・・
世界遺産が建築物などの有形の文化財を指定し、その保護と継承を目的としているのに対し、
伝統文化など無形のものも保護や継承の対象にしよう、というのが「無形文化遺産」です。
日本で言うと、
「能楽」「歌舞伎」「人形浄瑠璃」「雅楽」「アイヌ古式舞踊」
などが無形文化遺産として登録されてあります。
最近では、
2013年に「和食」
2014年に「和紙」
が登録されています。
そして「着物」でいうと、
実は、「結城紬」や「越後上布」などが既に登録されているのですが、
今回は「着物」という、日本の民族衣装としての登録を目指そう、といった動きなのです。
2020年には東京オリンピックも控え、日本や和文化への世界からの注目もさらに集まってきている時期に、着物業界にとってはとても良い流れだと思います。
近年「インバウンド」という言葉がよく聞かれるようになりましたが、
実際に海外からの訪日観光客数は、
2009年には678万人だったのに対し、2015年には2000万人に達しているとも言われています。
そんな中で、京都で伝統文化体験を行った観光客の
なんと4人に1人(23.2%) が、
「着物・浴衣の着用体験」を行っていたという統計結果もでています。
(平成25年度 京都観光総合調査 京都市産業観光局)
これだけを見てみると、「着物」のユネスコ無形文化遺産登録は、着物業界や日本にとってメリットしかない、まさに追い風とも言える必要な動きに見えます。
が、しかし実際には賛成の声だけでもないのが現状のようです。
■「着物」と認めらるものが限られる?!
反対の声は、意外にも着物業界、着物関係者側から多く出ているといいます。
それは、「無形文化遺産」として認められるのは、その名前からも「遺産」としてあるように、
「古来からの伝統的な物や文化を正当にきちんと継承する」ことにあることから、
この場合の「着物」とは、“職人の織り・染め・縫製などの技術”や、
“その技術を経て出来上がった着物”、
そしてそれを“正式な着付け方”で着付けたもの
のみが「無形文化遺産」として認められるということになるのです。
何が言いたいかと言うと、
近年、着物業界で盛り上がりつつある、また盛り上げようとする動きのある、
「伝統文化としての着物」とは別に、若者や着物初心者に向けた
「ファッションとしてのキモノ」
(ここではあえてカタカナでキモノとしておきます)
つまり安価で気軽に誰でもきることのできる“キモノ”は、「無形文化遺産」からは除外されるということなのです。
呉服小売市場が3000億円を切ってきたという劇的な衰退の中で、
(1970〜80年代には2兆円とも言われた市場です)
近年は若年層に取り入れられる着物を、ということで
素材を洋装のものを使ってみたり、
洋装との組み合わせを自由に提案してみたり、
着付けが簡単にできるよう着物自体を簡素化してみたり、
デザインや色味のファッション性を高めてみたり、
1日レンタルの街着を流行させる仕組みを作ってみたり、と
様々な企業やメーカーで“新しいキモノ”の可能性を模索していたところだったのです。
それが、「着物」が無形文化遺産に登録されることで、”新しいキモノ”の可能性の芽を摘まれてしまう。
原点回帰して“本物の着物”のみが「着物」として扱われることによって、
結局は何百万円とする着物を購入できる人などそうはおらず、着物は「文化として見るだけのもの」になってしまい、
結果、また着物業界が衰退してしまうのではないか、ということが危惧されたのです。
hataoriはどちらかというと、“新しいキモノ”の可能性を具現化しようという姿勢を持って事業に取り組んでいます。
その為、後者の考え方ももちろん分からなくはありません。
“新しいキモノ”のあり方を、しかもインターネットで、しかもレンタルで表現しようとしているので尚更です。
しかし、hataoriとしては、そんなに「着物の無形文化遺産登録」に関して否定的な考えは持っていません。
なぜかというと、
まずはやっぱり「着物」でも「キモノ」でも「KIMONO」でも、なんでもいいから「注目を集める」ことから再出発しないといけない、と考えています。
そう言ってしまえるくらい着物業界は厳しい状況にある、と客観的かつ冷静にそう認識しているからです。
そのためには、「着物」がフューチャーされて、「キモノ」が落ち込む、ではなく、
どちらかが注目されれば、別にどちらかが登録されないとしても、
結果として着物業界全体の活性化に繋がればとても素敵なことだと思います。
「無形文化遺産」に登録されてある日本の伝統文化である「着物」を、若い人向けに新しいカタチで提案します!
それだけで良いようにも思うのです。
さて冒頭に戻りますが、最近ではこの話題も聞くことが少なくなり、どうなってしまったのでしょうか?
なにごともそうですが、言い続けたり、実行し続けたりしない限り、
世の中のスピードはとてつもなく速く、すぐに次の話題へ移り変わり埋もれてしまいます。
「着物」がこれまでそうであったように、これからはそうなってしまわないように、
hataoriとして世の中に“「着物」でも「キモノ」でも「KIMONO」でも”
とにかくなんでも良いから常に発信できるように、
着物を忘れられないために、
着物をもっともっと、どんどんどんどん広めていけるように、
これからも変わらず肝に銘じておきたいと思います。
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2016.02.03
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