日常のファンタジーとしての着物ファッション
こんにちは。着付け講師と服飾デザイナーをしています中村麻美です。
今回のhataoriさんブログには私の着付け講師以外の顔、
デザイナー業にフォーカスして書かせてもらいます。
着物は日常のファンアジー
服飾デザイナーとしてのキャリアは今年で13年目になります。
春物、夏物を考え、糸や生地を選んだり、時には素材から作ったり、パターンを作り、服が出来上がる。
一息つく間もなく、次の秋物、冬物の企画。
とまた同じ作業の繰り返し。
そんな生活を送っているうちにも12年が経っていました。
昨年知り合ったグラフィックデザイナーのamuco.と出会って2回目にて着物ブランド「MarMu」(マーム)をスタートさせました。
ファッションは「日常のファンタジー」だと以前から思っていますが、
着物はよりその傾向が強くて、リアルファッションではない部分で惹かれています。
私にとって洋服は仕事なのでリアルすぎるほどリアルです。
震災後に違う価値を求めて、着付けを学びました。
着付けは服作りのドレーピングに似ています。
着物は着付けることでフォルムを生み出すことに、いつも感動します。
着るたびに発見がありいつも新鮮で飽きません。
着物を選ぶ人は、手間を愛する人
着物のデザインは今年で2年目。
いつもいつも新しいことの連続で全く慣れません。
似て非なることへの挑戦だったことに始めてから気がつきました。
衣服には「用を満たす服」と「心を満たす服」があるとしたら
着物は「心を満たす服」。
洋服で事足りるのに今の時代にわざわざ着物を選ぶ方は日常の手間を愛する人たちだなあと、いつもその姿に感銘を受けます。
私自身も手間がかかっているものが好きです。
でも合理的なのも好き。
だから、省けるところは省いて着物を今の時代に合うように着ています。
今日は洋服、明日は着物、と日々の服装の選択肢に差がなくなったことが今ではとても心地良いです。
でもその選択基準は自分ではなく「相手に合わせる」なので、なんとも日本的な発想でいいな、と我ながら思っています。
今のように、インターネットが発達し情報が瞬時に世界中で共有され、
世界の物流が早くなっても、ライブで会う機会を持つことは、伝わる情報量が違う。
なので、会う前に心を砕いた証に服装をお会いする方に合わせて選ぶようにしている。
伝わらなくてもいいんです、自己満足なので。
でも、ひとりよがりにならないように気をつけながら人を思って服を選びます。
その時間を作ることは、心を落ち着かせ、深く思いを巡らせることに通じ、結果として良い関係につながる気がします。
着物はルールがある分余計に悩む時もありますが、それすら楽しい時間。
それらの行為は茶道や華道という日本の精神性に通じるものを感じます。
服装からの「おもてなし」ですね!
そう、東京オリンピックに向けて和装振興を図っているようです。
その頃にはファッションとしての着物がもっと増えていたらいいな、
とデザイナーと着付け講師の顔を持つ私は思いつつ、今日も新しい布や糸を作っています。
9月30日から10月2日までMarMuの受注展示会あります。
よかったらお運びくださいませ。
■MarMu
https://www.marmu.jp/
hataori blog by Mami Nakamura 中村麻美 / 日常のファンタジーとしての着物ファッション