遠州流茶道 小堀宗翔さんインタビュー「茶道×着物×日本人」 | 着物レンタルモールhataori(ハタオリ)

この日の撮影は、前回の阿久津ゆりえさんのインタビューと同日に、東京都台東区の西蔵院の茶室にて行われました。
　

　
今回は、遠州茶道宗家13世小堀宗実家元の次女であり、2013年度のラクロス日本代表も務めた茶道家・小堀宗翔さん。
(撮影時は小堀優子さん。2016年1月より小堀宗翔を襲名されました。)

撮影が秋頃だったので、季節に合わせた紺色に紅葉の葉が色鮮やかな自前のお着物で撮影にお越しいただきました。
　

　
お着物をコーディネートする際は、着物にある色を帯と帯締めにチョイスすることで、締まって見えるよう工夫しているというお話を伺いました。

季節に合わせたり、色味を気にしたり、着物の難しいところではありますが、洋服と一緒でコーディネートを工夫する楽しみが着物にはありますよね。

小堀さんは毎日お着物をご自身で着られるそうです。
朝、茶室に向かうまではスーツで、茶道のお仕事前にはお着物を着て、さらに土日はラクロスのユニフォーム。

和洋文化のスタイルを常に交互に行き来しているお忙しい方です。
　

　
hataori channelでもお応えいただいているように、ラクロス(スポーツ)と茶道には、離れているようで共通点がいくつもあるのだそう。
　
茶道では、客人をおもてなしするために、朝早く起床して茶室の掃除、客人に合わせた茶道具やお花、掛け軸の準備などを行い、

スポーツも一緒で、対戦相手と戦う前に練習を積み、作戦を練り、体調管理や精神統一をして万全の準備で戦いに挑む。

客人とのあうんの呼吸、チームメートとのコミュニケーション、対戦相手との間の読み合いなど、通じるものが多いとおっしゃいます。

茶道を通して、ラクロスや社会生活などの基盤を作られてきたのですね。
その精神が小堀さんを日本代表選手に至るまで押し上げたのだと感じました。
　

　

茶道の魅力とは

　
茶道の魅力は、「ゴールのないところ」と小堀さんはおっしゃいます。

常に稽古に励み、新たな発見を見つけると、またすぐに新しい疑問や好奇心が湧いてくる。

「茶道」はお茶の道と書くように、道に終わりはないのだと言います。

普段みなさんも、お客様を家にもてなす際、または訪問する際には、そのお客様の趣味趣向を汲んで茶菓子を用意したり、なにか手土産を用意したりすることもあると思いますが、

茶道はそれの極みなのだと思います。
　
小堀さんのインタビューの中には、それを「おもてなし」という言葉で何度も表現されていました。
　

　
一番印象に残ったのが、「2020年東京オリンピックに向けた日本人のおもてなし」についてです。
　
オリンピック開催地決定の際、「お・も・て・な・し」という言葉が全世界の人々の心を掴んだけれど、
一体どれだけの日本人が、世界からの客人に対して本当の意味での「おもてなし」をすることができるのか。
　
日本の、日本人の繊細で痒いところに手が届くような和の精神を期待して訪日される外国人の方々に対して、
本当に期待通りの歓迎が私たち日本人にできるかどうか。

まさに、はっとさせられる言葉でした。
　
ラクロスの日本代表という大きな経験をされた小堀さんは、
現在、日本を代表するアスリートの方々に茶道を通して禅の精神を伝える活動を精力的にされています。

茶道を通して、相手を思いやること、ここぞという勝負時に負けない強い心を、茶道を通して学んでほしいとおっしゃいます。
　
茶道だけでなく、着物にも通じる部分が多くあると、インタビューをしながら考えさせられました。
　
相手やその場に合った着物や帯の選び方、コーディネートの工夫、繊細で経験と技術が必要なスピードと美しさが求められる着付け、着物を着たときの歩き方や所作。
　
茶道も着物も、日本人の心を表す素敵な文化ですよね。